「うつ」とブログの関係についての私見  後編

前編では、

 

ブロガーの中にはメンタルヘルス不全の人が多いような気がする
わたしの勝手なバイアスがかかっていて、実際に多いのかどうかわからない

 

という話をしました。それはあくまで前置きでした。落語で言えば、まくらです。

話の本論は今回の記事です。

 

注意
今日の記事を書くにあたり、再度書いておきます。

この記事は特定の人物、あるいは特定の人たちを馬鹿にしたり否定したりする意図は全くありません。

それと、わたしは医者、その他医療関係者じゃないので、病気に関する記述についての正確性や再現性等々に責任はもてません。わたしが感じてきたことをそのまま書くだけですので、その点もあらかじめご認識いただければ、と思います。

タイトルを「うつ」としましたが、これから書く記事が対象にしているのは、うつだけではなく、その他のメンタルヘルスや発達障害などの不具合全般を含めています。なので、カッコ「」を付けました。

具体的には、精神障害と呼ばれる統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病など)、精神作用物質(アルコール、シンナーなど)による障害などや、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群その他)です。ということで、この記事では、特定する場合を除き、今後「メンタルヘルス不全等」と表現することにします。

 

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結論めいたことを先に申し上げると、ブログというのはメンタルヘルス不全等に苦しんでいる人たちに、悪くはない仕組みだ、うまく使ったらいいツールじゃないだろうか、ということです。

 

 

3.メンタルヘルス不全等から脱するには

メンタルヘルス不全等から脱するのは簡単なことではありません。

もちろん、症状の程度や、原因など様々ですから一概には言えません。

言えることは、風邪やインフルエンザ、ケガみたいに自然治癒、あるいは薬を飲んだり塗ったりして治るというものではない、ということ。

メンタルヘルスについて、企業の担当者が教科書のように学ぶことをご紹介します。

「4つのケア」というものです。

 

1.「セルフケア」は、私たちが自分自身で行うことのできるケア。働く人が自らのストレスに気付き、予防対処し、また事業者はそれを支援すること。

2.「ラインによるケア」は、管理監督者が行うケア。日頃の職場環境の把握と改善、部下の相談対応を行うことなど。

3.「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」は、企業の産業医、保健師や人事労務管理スタッフが行うケア。労働者や管理監督者等の支援や、具体的なメンタルヘルス対策の企画立案を行うことなど。

4.「事業場外資源によるケア」は、会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、 その支援を受けること。

厚生労働省ウェブサイトより

https://kokoro.mhlw.go.jp/usagi/ug008/

 

1から4までのうち、1が初期(軽症)の段階で、数字が大きくなるにつれ深刻度合いが高まっているといえます。1<2<3<4って感じ。

 

まず1つ目はセルフケア。自分で自分の状態を知ること。自分の身体やココロの変化に注意を払うこと。

次に、2つ目が「ラインによるケア」。ひらたく言えば上司が部下をケアすることです。

上司、管理監督者は部下が健康に仕事をすることに責任をもっています。日頃の様子をみていて、あるいは勤務の状況をみていて、体調が悪くなっているんじゃないか、精神的にしんどい状況にあるんじゃないか、と部下をウォッチする必要があります。

残業が多ければ少なくするようにし、仕事が立て込んでいるようであれば上司が、あるいは他の部下が助け合って業務量が軽減されるように等々の措置を講じる必要があります。

電通の高橋まつりさんの事件で、電通という会社と高橋さんの当時の上司が送検されたのは労働基準法違反で、違法な長時間労働をさせていたというものですが、メンタルヘルスの「ラインによるケア」がなされていなかったことも明確です。

 

3つ目の「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」は、まさにわたしのケース(前回の記事を参照ください)があてはまります。看護職である社員に相談したところ、心療内科の受診を勧めてくれた、ということです。

また、わたしが仕事として行っていることも、この3つ目のケアに該当します。

ラインによるケアでは行き詰まる場合、ラインから外れた人事労務スタッフが動き、措置を講じます。産業医にも相談したり、産業医面談の実施を行ったりします。

 

いよいよ3つ目のケアでは対処が難しい場合、4つ目「事業場外資源によるケア」にすがることになります。

産業医、あるいは産業医や会社が定期健康診断等で連携している医療機関等での診察、治療ということになります。

 

わたしの経験で言えば、

→1つ目の「セルフケア」自分の変調に気づいた、が原因がよくわからない

→3つ目の「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」にて

→4つ目「事業場外資源によるケア」の案内を受けた

ということになると思います。

 

4.セルフケアでできること

病気にしてもケガにしても、なるべく早期の対処をすることがその後の治癒に大事になってきますが、メンタルヘルス不全等も例外ではありません。ですので、セルフケアが大事です。

でも、最も気づきにくい、あるいは気づいてもアクションしにくいのがセルフケアでもあります。

 

  • 風邪でもないのに熱が出た
  • ふらつきがある、でも仕事を休むほどでもない
  • お腹の調子がおかしい。悪いものを食べたわけでもないのに

 

といった身体の不調もあれば、

 

  • 上司のAさんとの関係がよくない
  • 「ラインによるケア」と言うが、そもそもその上司がストレスの原因だ
  • 仕事が忙しい、でも自分が抜けてしまうとプロジェクトが進まない、周囲に迷惑かける
  • 体調が悪いから休む必要があることはわかっている、でも自分としては仕事をしたい気持ちが満々
  • 誰かに相談したい。でも相談すると不利益に扱われるのではないか、たいしたことじゃないからバカにされないか不安

 

など、ココロの不具合や悩みを抱えている場合もあります。

上司にも、同僚にも、総務にも、家族にも、誰にも相談できないという場合が多くあります。

 

わたしの仕事上の立場を言うなら、「他の誰にも言えないことでも、総務の相談窓口には話してほしい」と思います。もちろん守秘義務はありますからしっかり守りますし、ラインから外れた部署であればできることもあります。

 

そして、特にこういう場合効果が大きいのは、「誰かに話すだけで気分が楽になった」というケースです。これは本当に多いパターンです。わたし自身のことでの経験もそうですが、仕事として対応してきた事例としても多いことを実感してます。

話を聞いただけの場合でも、できることできないことがあります。できないことであっても、その人の仕事生活、私生活に直接関係ない人間が話を聞いたことで、その人のもやもやが晴れることがあります。

話を聞く側も、受けた相談なり聞いた話を自分で解決しようと真剣になると逆に聞いた側がやられることもあります。そういう場面もみてきました。

わたしは、自分が体調をおかしくした経験をしたあとに、この仕事をしているので、ある程度話を聞き流す、スルーすることもできるようになりました。

 

5.本心、本音を吐露する場としてのブログ

とにかく、困っている人は、自分の本音を吐露したいという気持ちを持っているはずです。(そういう人が多いと思います。)

そんな人に、ブログで吐き出すというのは有効な手の一つではないか、と思うのです。

 

最低限のルールは守る必要はあります。

特定の人物や組織を否定する、誹謗中傷の言葉を浴びせる、脅迫する等などは行ってはいけません。法律違反や反社会的な目的、社会通念上許されない範囲のことを書くのはよくありません。ネット上の発言、SNSの基本的なルールは守らなければなりません。

が、それを守れば「本音を吐露したい」という場としては非常に有効だと思うのです。

 

で、話を最初に戻すと、ブロガーに「うつ」(メンタルヘルス不全等)の人が多いかもれないのは、決して否定することではない、ということを言いたかったのです。

 

これまで多くの上司がいましたが、その中の1人は会社を早期で退職し、大学に入学し、臨床心理士の活動をされています。その方は、在職中、20数年「いのちの電話」のボランティアをされてました。

在職中も人事労務の仕事で多くの社員を救ってこられたはずで、その労力は大変だったと思いますが、社外でも同じく多くの人を救ってこられてます。

 

偉大すぎる彼の功績に近づこうと生意気には思ってませんが、自分でできることはやりたい。わたしもその彼に助けられた1人であり、その感謝を自分のできる範囲で、と思ってます。

 

多くのブログを読んでいて、「この人はもしかして苦しんでるかな」という人がいれば購読する(はてなで言えば「読者になる」)こともしたりしています。

顔を合わせて話をすることの効果とは全然レベルが違うと思いますけど、それでもゼロではないと思ってます。「死にたい」などと書かれた記事には、それが適切なタイミングで、必要な言葉であると思えばコメントをすることもありえます(これまでやったことはないですが)。スターをつけることはあります。より多くの人に知ってほしい、という意味でブクマをつけることもあります。

「誰かがみている」「ひとりぼっちじゃない」ということを感じてもらうだけでも有意義かな、と思ってます。

 

ITがメンタルヘルス不全等、特にひきこもりを救う例としてポケモンGOが話題になりました。

ひきこもりの症状の種類や変動、それにゲームに対する好き嫌いなどもあるので、万能とはいえないようですが、それでもポケモンGOといいブログといい、うまく活用すればITがわたしたちを救ってくれた(あるいはその可能性を持っている)のですよね。

 

 

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