「開会式が地上波にない」「マイナー競技が映らない」アジア大会2026の放送の謎を解説

32年ぶりに日本で開催されているアジア大会。参加国・地域は約45、競技数はオリンピックを上回る43競技469種目という規模だが、テレビの前で見ていると「あれ?」と思う場面が少なくない。今回はその違和感の正体を、放送の仕組みから整理してみたい。

「Q」と書かれているのは私自身の疑問であり、それをネットやAIにもヒアリングしながらまとめた記事です。

 

Q.なぜ開会式は地上波で中継されなかったのか

開会式は2026年9月19日(土)18:00からパロマ瑞穂スタジアムで行われた。日本での地上波放送権を持つのはTBS系列で、1994年の広島大会以来ずっとアジア競技大会を放送してきた、いわば"専属局"だ。事前の報道でも「TBSが独占生放送」「9月19日は開会式」と番組内容が予告されていた。

ところが実際にラ・テ欄を見ると、9月19日夜の枠に入っていたのは、いつもの土曜レギュラー番組「ジョブチューン」。つまり土曜の通常編成がそのまま維持され、開会式のための特番差し替えは行われなかった、ということになる。

ここで押さえておきたいのが、アジア大会の放送体制はオリンピックとは根本的に違うという点だ。オリンピックの開会式は、NHKと民放各局が共同で放映権を持つ「ジャパンコンソーシアム」方式のため、どの局にチャンネルを合わせても中継が見られる。一方アジア大会はTBS系列1局が単独で放送権を保有しており、「何を地上波で流すか」はTBS自身の編成判断に委ねられている。地上波(TBS系列)は無料で観戦できる一方、放送されるのは大会の一部競技のみという構造だ。

つまり今回起きたことは、「TBSが放送権を独占している以上、開会式を地上波で流すかどうかも含めてTBSの経営判断次第」という状態で、TBSは視聴率が読める土曜プライムタイムのレギュラー番組を守り、開会式は配信専用(U-NEXT)に回すという編成を選んだ、と見るのが妥当だ。実際、U-NEXTでは開会式が19:00から配信されている。オリンピックなら国民的行事として問答無用で地上波に乗るところが、アジア大会では「1局の編成判断」というワンクッションが入るため、こうした差し替えが起こり得る。

 

→開会式を観られた方もおられたかもしれません。私の地域では、新聞のラ・テ欄はジョブチューンでした。

 

Q.なぜマイナー競技を放送しないのか

最初の🥇は水泳だと思ってた。けれども実際には男子トライアスロンだった。

 

前項の同じ理屈がそのまま「マイナー競技が映らない」問題にもつながる。地上波を持つのはTBS系列1局だけなので、1日に流せる放送時間そのものが限られている。対してU-NEXTは最大7チャンネルを同時に使い、20競技以上をライブ配信している。1チャンネルしかない地上波と、7チャンネル使える配信サービスとでは、扱える競技数の桁が違う。

限られた地上波の枠に何を乗せるかを決める基準は、当然「視聴率が見込めるか」になる。競泳・陸上・卓球・柔道・バレーボールのように、日本のメダル獲得数が多く一般認知度も高い競技が優先され、トライアスロンやカバディ、セパタクローのような競技は配信サービス側に回されやすい。

「最初の金メダルが競泳だと思い込んでいた」というのも、この構造と符合する。競泳競技は2026年9月20日(日)から9月25日(金)まで、東京アクアティクスセンターで行われる予定で、開会式当日の9月19日時点ではまだ始まっていない。つまりその日のうちに決着がつくトライアスロンのような競技が先に金メダルを決めていたことになる。競泳は池江璃花子選手を筆頭に大会前から報道量が突出して多い"顔"の競技のため、「アジア大会といえばまず競泳」というイメージが先行し、実際の競技日程とズレが生じたのだろう。

 

Q.「同じ場面の繰り返しよりマイナー競技を」という希望を取り巻く環境

この希望の背景には、テレビ業界全体の構造変化がある。地上波の広告収入モデルは縮小傾向にあり、局としては「視聴率が読める鉄板の名場面」を編集して繰り返し流す方が、費用対効果の面で理にかなっている。逆に、大会の全種目・全時間を無料の地上波だけで賄うのは、放送時間にも制作コストにも限界がある。

その受け皿として、月額課金制のストリーミングサービスに多チャンネル配信を担わせるという役割分担が、近年のスポーツ中継では定着しつつある。WBCやE-1選手権など他の大会でも、「地上波は一部だけ無料中継、全試合は有料配信」という同じ構図が繰り返されている。今回のアジア大会でも、eスポーツ競技はTBSスポーツの公式YouTubeチャンネルでのみ配信されるなど、地上波以外の受け皿がさらに細分化されている。

つまり「同じ場面の繰り返しよりマイナー競技を」という希望自体は正当なものだが、地上波1局体制という構造がある限り、その実現は難しい。現実的な解決策は、地上波に多くを求めることではなく、U-NEXTのような多チャンネル配信サービス側でマイナー競技を掘り起こしていく方向にあると言えそうだ。

 

 

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